家族信託とは

親と子で『家族信託』という契約を結ぶことにより、親が認知症や病気で寝たきりでも、子どもが代わりに銀行の手続きや不動産の手続をすることができる制度です。

80~84歳の20%、85~89歳の40%が認知症となっている現在、
銀行口座や自宅に手が付けられなくなり、空き家のままになるケースが増え、社会問題にもなっています。
しかし、事前に家族信託を契約しておけば防げる問題なのです。

人生100年時代。
誰もが避けては通れない介護時代、人生の集大成を、家族で明るく前向きに乗り切りたいものです。
家族信託を利用することで、そのお手伝いができるかもしれません。

【家族信託でできること】例えば親子間で信託する場合

 ①親の介護や生活のための銀行口座を作成できる
 ②不動産取得税等、税金の影響をほとんど受けずに、不動産の名義変更ができる
 ③未上場株の名義変更ができる(法人のみ)

※ご契約はお元気な(意志の疎通ができる)うちに行います。

《 例 》親が認知症により判断能力がなくなってしまった…。
   施設に入居したいので、親の銀行口座から送金したい、
   または親名義の自宅を売って費用にあてたい。

パターンA  何もしなかった場合

 預金・・・認知症であると銀行が知った瞬間、口座は凍結となり、
      すべての入出金、送金等ができなくなる。

 不動産・・・本人名義、または本人を含む共有名義の場合は、空き家となっても、
       原則は相続が終わるまで売買も何もできない。

 結果・・・子どもが費用を負担することに。


パターンB  成年後見人を立てた場合

 預金・・・家族が後見人になれる割合はわずか26%程で、
      70%以上は、家庭裁判所が任命する見ず知らずの専門家が後見人となる。
      その後は家族に権利はなくなり、すべて後見人にしか手続きできなくなる為、
      本人の意向は必ずしも反映されない。

 不動産・・・裁判所の判断が下りない限り、手をつけることはできない。
       (預金が底をつき不動産を処分しないと費用が払えない場合等)

 結果・・・施設の費用は後見人が管理してくれるが、
      家族は口座の残高もわからないので、不安が残る。


パターンC  家族信託を契約した場合

 預金・・・信託専用の口座を作成していたので、委託者(親)の生活、介護、納税等、
      目的の範囲内で受託者(子ども)が使用できる。
      施設の費用の支払いも捻出できる。

 不動産・・・受託者(子ども)の権限で売却、リフォーム、賃貸等ができる。

 結果・・・施設の費用や親の生活費の心配もないので、
      子どもは負担なく、親の介護に前向きに向きあえる。
      自宅も貸したり売ったりできるので、費用にあてられる。


【用語集】

信託・・・財産の所有者(委託者)が、信頼できる人や法人(受託者)に財産を託し、定められた目的に従って財産を管理・継承する方法で、定められた受取人(受益者)に財産が渡される仕組み。

商事信託・・・受託者は信託業免許を持つ信託会社や信託銀行で、営利目的で信託報酬を受け取る。

民事信託・・・受託者は家族・親族・友人等で、営利目的ではない。平成18年に、84年ぶりの信託法改正によって生まれた。

家族信託・・・民事信託の中でも、受託者を家族・親族にして財産管理を任せる仕組みのこと。一般社団法人家族信託普及協会の登録商標である。

委託者(イタクシャ)・・・信託を設定する者。自己の保有財産の中から信託財産の管理・処分方法について定める。

受託者(ジュタクシャ)・・・委託者から財産管理を託された者。信託財産の形式的な所有者になる。

受益者(ジュエキシャ)・・・信託財産から経済的利益を受ける者。受託者が適正に財産を管理しているのかを監視する権利も持つ。

信託監督人(シンタクカントクニン)・・・受益者のために受託者を監督・指導する者。監督人を定めない場合も多い。身分や資格の制限はないが、家族・親族ではない第三者(司法書士・税理士等)が就任する方が好ましい。監督人報酬は月額数万円が一般的。

信託口口座(シンタクグチコウザ)・・・受益者の現金を管理するための専用の口座。
「委託者 ○○○ 受託者 ×××」のような口座名義にするのが理想的だが、現在はこのような口座を作成してくれる金融機関はかなり少ない。

信託専用口座(シンタクセンヨウコウザ)・・・受託者名義の信託財産の分別管理用の口座。現状「信託口口座」の作成が困難なため、受託者の個人口座を新規で作成し、それを信託契約書に口座番号まで明記することで、名義は受託者であるがその中身の預金は親(受益者)のものであるという取扱いをする口座。

信託報酬(シンタクホウシュウ)・・・受託者の信託事務に対する対価。報酬を定めない場合も多く、定める場合でも月額数万円までが一般的。信託契約書に記載された条項の通り信託財産から受領する。